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根本齒科室/Spazio Dentale RADICE
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歯科と"保険"

歯科と選択的支出

前ページで、医科と歯科の性質は実際には真逆だと言いました。

驚かれた方も多いかもしれません。

しかし、私たちは知らずのうちに、差をつけた対応をしていたのです。
それが「選択的支出」です。

選択的支出とは、簡単に言うと、ぜいたく品ということです。
これの反対語は、基礎的支出、必需品です。

消費支出が1パーセント増える(減る)と、その支出が1パーセント以上増える(減る)状態を「支出弾力性が高い」とか「選択的支出である」と言います。
これは、景気の動向に左右されやすく、不況では買い控えられるぜいたく品ということです。

歯科は1を少し上回っており、選択的支出つまり、ぜいたく品です。

いっぽう、医科は0.2〜0.4程度であり、1を大幅に下回っております。
医科は逆に「支出弾力性が低い」「基礎的支出である」と言えます。
医科は、景気の動向に左右されずに一定量消費される、必需品です。

もうひとつ、そのものの価格が1パーセント上がると、そのものの支出が何パーセント増えるかという「価格弾力性」という指標もあります。
日本の場合は保険制度で価格が一定ですから、価格弾力性は分かりません。

しかし家計の所得を見ると、何となく弾力性がありそうな気がします。

野村眞弓先生らの研究によれば、総務省の「家計調査年報」を勤労者の所得の高さに応じて「収入5分位」で分けて分析するときれいに分かれます。

1998年から医科の段が少し上がっているのは、橋本(龍)改革で本人負担が1割⇒2割に上がったからです。 低所得者層ほど歯科に金を使わない一方、医科では所得によらず支出が一定であることが一目瞭然です。
橋本内閣の消費増税によるデフレ深刻化が一目瞭然なのは御愛嬌ですが・・・

 家計の支出の中にあまり歯の治療費がかさまないようにする。
 低所得者層は、歯の治療は後回しにして、がまんする。

多くの家庭では、普段からこのように注意しています。
これに対して、医科の医療費のほうは、そうではありません。

 高くてもお金がかかるときはしょうがない

と思われています。

しかし、選択的支出であるということそのものが、「広く公平に」の精神に反しています。望ましい社会インフラであるなら、医科の様に収入にかかわらず収入5分位で平行に近くなければおかしいからです。

望ましい社会インフラとしての歯科医療行政

私たちは、歯科を医科と同じようなものだと思っていました。
だから、予約が取りにくいとか、回数ばかりかかってなかなか終わらないという不満をよく耳にします。

しかし先ほど表で見たように、支出については医科とは明確に分けており、全体としてはぜいたく品として扱ってきました。

ひとつには、「痛くなければ悪くない」という、医科一般との混同が影響を及ぼしていることが考えられます。これには当歯科室でも初診時によく悩まされている、頭の痛い問題です。

もうひとつには、高額所得者ほど保険の利かない歯を選択しがちなのではないか、という見方もあります。これは私の周囲では一概にそうとも言えません。

たしかに無い袖は振れませんが、当歯科室のでは、長期的な価値観や先ほど言ったような考えをよく理解してくださっている方ほど、歯を大事にしたり、コストをかけたりする傾向がそれなりにある、というのが最近の私の実感です。

逆に、会社経営者や政治家のような余裕のある方でも、仕事のことで頭がいっぱいで歯はそれなりでよいと思っている方の場合は、結果として所得と支出が相関しない形になります。

歯に対して正しい理解が浸透していくと、まず変わるのは、定期健診の受診率です。

そこではあまり歯科医師の活躍する場が多いとは言えず、場合によっては歯科衛生士が主導で行うこともある領域です。

定期健診には高額なお金もかかりませんし、痛くもありません。
また時系列的に継続した管理は、治療介入の是非を判断する上でもとても有効な資料です。

最近感じるのは、どうせ性質が逆なのだから、悪くなってからあわてるのではなく、悪くなる前に、ならないようにしておいたほうが、費用対効果上もよいですし、お口の状態も格段に良くなるのに、ということです。

「歯科医師」というと、基本的には歯を削ったり抜いたりする人、という位置づけです。
その意味では私個人の手元は若干寂しくなるのかもしれませんが、国民利益にかなうならそれでもよいと思います。

歯科については、望ましい社会インフラとして考えれば、今までのような事後対応型でなく、このような事前対応型のほうが明らかに日本人のためなのではないか、と思います。

ここまで、

◆ 自然治癒する・しない
◆ 回避予防できる・できない
◆ 自覚症状がある・ない

これらの3つの対立点が出てきました。

また、歯科は医科と反対の性質があるので、事後でなく事前対応の方が良いことも分かりました。

そこで、次のページで思い切って、

◆ 自然治癒する・しない
◆ 回避予防できる・できない

の問題に絞って、トラブルと対応の一般化を試みてみます。

なお、自覚症状の有無については、早期スクリーニングを広い意味で「自覚症状あり」と考えると、対応策にあまり関与しないと思うのでとりあえず省略します。

では次のページ「正しい対応」をご覧ください。

APPENDIX〜税と社会保障と医療費と保険

以前から、戦前は軍事費、戦後は社会保障費などと称して、青天井の支出増大を批判する声があります。

今は戦争のことはとりあえずさて置いて、社会保障費について考えます。
社会保障を大きく分けると「医療」「介護」「年金」でいいでしょう。

このうち、「医療」「介護」と「年金」は分けて考える必要があると思います。

それは、医療と介護は内需なのに対し、年金は所得移転だからです。

2012年現在、日本はデフレ下にあり、総需要(GDP)が総供給を下回っているので、いわゆる「デフレギャップ」が生じている状況です。
GDPは成書によると「消費」+「投資」+「政府支出」(+「純輸出」)となっています。
しかしデフレなので、モノよりカネの価値が上がっていて「消費」「投資」は冷え込んでいます。

そうすると、残りの「政府支出」を増やすほかありません。

政府支出。簡単に言うと"公共事業"です。

というと、橋や道路、ハコモノ、談合などがすぐに思い浮かび、気を悪くする方も多いかと存じますが、我々医療従事者の仕事も、ある意味りっぱな公共事業です。
保険診療は、国の下請け事業に他ならないからです。
患者様や支払基金から医療機関に支払われた医療費の多くは人件費や地代家賃、経費などに回り、貨幣は国内を循環していきます。
どこかでカネが消滅したりすることはありません。

そこで「消費」「政府支出」が数多く行われ、GDPの源泉になっていきます。

年金はこうはいきません。単なる所得移転であり、原則貯蓄に向かいます。
「○○手当」「ベーシックインカム」も同じく所得移転であり、原則貯蓄に向かいます。

カネが貯蓄に向かってしまうと、景気もGDPもデフレも良くなりません。

デフレ脱却で「消費」+「投資」+「政府支出」というなら、今こそたとえば窓口負担を3割⇒2割にするなどして、「消費」「政府支出」を増やすべきです。

もちろんインフレのときにこんなことをしてはいけません。

しかしデフレで、GDP≒「消費」+「投資」+「政府支出」を増やさなければいけないときに「消費」に増税して、GDPを削ってデフレギャップを増大させるような挙に出るとは・・・
現政権は経済のバランス感覚を見失っているとしか思えません。